ストーマ保有者の旅行は、事前の準備と注意点を知っておけば、国内や海外どこでも楽しめます。とはいえ旅先ではいつもと違う環境で過ごすため、不安や心配もあるのではないでしょうか。
本記事では、ストーマ保有者が旅行を楽しむための準備や旅先での注意点、移動時のポイントなどをわかりやすく解説します。
旅行を安心して楽しんでいただけるよう、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
ストーマ保有者が旅行をするために必要な準備

旅行前には、旅先で排泄処理ができる場所を調べておきます。ストーマ用装具の交換セットは、万が一のトラブルで交換することを想定し、多めの準備が必要です。
旅先で排泄処理ができるトイレを調べておく
ストーマ保有者が旅行中にストーマの排泄処理で困らないよう、あらかじめトイレを調べておくと安心です。
国内旅行であれば、オストメイトJPでオストメイト対応トイレを簡単に検索できます。
海外旅行では、国内旅行のようにトイレがすぐに見つかるとは限りません。行動する範囲のどの辺りに公共トイレ(美術館・図書館・ホテル・デパート・教会など)があるか、事前に確認しておくと安心です。

ストーマ用装具の交換セットを多めに準備する
旅先でトラブルが起きた場合、予定よりも多くストーマ用装具を交換する可能性があります。交換セットは、旅行中に使う日数分よりも1〜3セット程度多めに準備しておくと安心です。
旅行先で使用するストーマ用装具の交換セットは、以下のものをチャック付きの袋にまとめておくと便利です。
- ストーマ用装具(面板の孔はあらかじめ開けておく)
- 不透明のビニール袋(交換後のストーマ用装具を捨てるときに、中身が見えないようにする)
- ノンアルコールのウェットティッシュ(ストーマ周囲の汚れを拭く)
- 拭き取りに必要なガーゼなど(ストーマ周囲の水分を拭きとる)
ストーマ装具が臭わない袋
驚異の防臭素材「BOS」を使用し、部屋もゴミ箱も臭わず快適。
袋に入れて結んで捨てるだけで新聞紙やトイレットペーパーに包む手間がいりません。

デイリーデオワイプ
新発想の消臭技術「デオマジック」を配合!ストーマ装具の排出口を拭き取るシートです。ノンアルコールのため、毎日使用しても皮膚への刺激が気になりません。

ストーマ保有者が旅行中に注意したいポイント

ストーマ保有者が旅行中に注意したいポイントとして、排泄物が漏れたときの対応や、飛行機や車に乗るときの注意点を解説します。
不意に排泄物が漏れたときの対応
旅行中に、排泄物が不意に漏れると慌ててしまいます。万が一排泄物が漏れたときに備えて、ストーマ用装具の交換セットをすぐに取り出せるよう準備しておくと安心です。
また、旅先のトイレでは、石けんやお湯が使えない可能性もあります。その場合は、ノンアルコールのウェットティッシュや清拭用キットでさっと汚れを拭き、不織布ガーゼで湿り気を取ります。
交換後のストーマ用装具は、不透明のビニール袋に入れてさらにチャック付きの袋に入れると、においや排泄物が外に漏れにくくなります。男性用のトイレでは汚物入れがほとんどないので、多目的トイレや宿泊先などのトイレで交換した装具を捨てます。
グラフィック洗浄&清拭用キット
洗浄用シートと清拭シートがワンセットになっています。石鹸・水・タオルの準備ができない災害時、非常時、旅行先等いざという時に大変役立つ商品です。

リモイスクレンズ
「リモイスクレンズ」は、天然オイル配合で汚れを浮かせて拭き取るだけの簡単ケア用品。弱酸性で肌にやさしく、保湿成分入りでしっとり感もキープ。洗い流し不要で、拭き取り後すぐにストーマ装具を貼付することができます。必要なものは、リモイスクレンズとガーゼだけです。水を使用する洗浄に比べて、少ない労力でケアすることができます。

飛行機に乗るときの注意点
飛行機に乗るときは、以下の点に注意して準備をします。
ストーマ用装具の交換対策
- ストーマ用装具をスムーズに交換しに行けるよう、トイレに近い通路側の席を指定しておく。
- 機内へ持ち込むバッグには、ストーマ用装具の交換セットを多めに入れておく。
- ストーマ用はさみは機内に持ち込めないため、面板の孔はあらかじめ開けておく。
パウチの膨張対策
- パウチが気圧の変化で膨らむことがあるため、搭乗前に必ずトイレへ行き排泄物を処理する。
- パウチの膨らみを抑えるため、搭乗前と機内では、ガスが発生しやすい食品や飲料の摂取を控える。(食品や飲料の詳細はストーマ保有者の食事術|においやガスを抑える工夫とはで紹介しています)
車に乗るときの注意点
- 気温が高いときにストーマ用装具を車の中に長時間置いておくと、熱で面板の皮膚保護剤が変形する恐れがあります。ストーマ用装具を車内に放置しないよう、注意が必要です。
- 尿路ストーマの方は、渋滞などで尿が溜まりすぎてしまったときのために、トイレ袋を持っておくと安心です。メンズホスケアトイレは、袋の中に入れた尿がジェル化するので、尿瓶代わりに使用できます。
- シートベルトがストーマ用装具に当たって、圧迫が気になるかもしれません。対策として、少し厚めのタオルを畳んでストーマ用装具の上に載せ、シートベルトを着用します。
メンズホスケアトイレ
フランスの内科医が院内感染予防のために開発した男性用トイレ袋。医療用、介護用、防災用としてお使いいただけます。袋には吸収凝固パッドが1枚入っており、約450mL吸収しジェル化します

ストーマ保有者の旅行についてのQ&A
Q.旅行先で温泉に入ることはできますか?
入れます。2016年に障害者差別解消法が施行され、ストーマなど身体的な障害があっても温泉(銭湯も含む)に入れることを明記しています。
実際に温泉へ入るときは、以下のような工夫がおすすめです。
- ストーマを造設している部位が壁側に向くように座る
- 人の少ない時間帯に入浴する
- 貸切風呂のある温泉宿を選ぶ
ストーマ用品を使った入浴時の工夫については、ストーマ保有者の快適な入浴|お風呂を楽しむための完全ガイドで詳しく紹介しています。
ストーマに関するご相談はヤガミホームヘルスセンターへ
ヤガミホームヘルスセンターでは、本記事で紹介した商品の他にも、ストーマに関する用品を豊富に取り扱っています。
ストーマに関することで不安や疑問がある方は、ヤガミホームヘルスセンターへお気軽にご相談ください。
【ご相談窓口】
ストーマ用品オンラインショップ ヤガミホームヘルスセンター「e.よりそうだん」
詳しくはこちら
ご連絡先電話番号 (通話料無料) | 0800-200-7772 |
受付時間 | 月〜金曜 9:00~17:00 |
休業日 | 土曜・日曜・祝日・年末年始 |
オンラインショップメール | shop@yagami-e-yorisoudan-stoma.com |
【参考文献】
・松浦信子・山田陽子、快適!ストーマ生活―日常のお手入れから旅行まで 第2版、医学書院、2019年、134p
【参照】
[1]公益社団法人日本オストミー協会>ストーマとの生活>日常生活のポイント
[2]厚生労働省>障害者差別解消法とその改正の概要