家族がストーマを造設している場合、日常生活のサポートや装具の管理をどうすればよいか戸惑うことも少なくありません。特に、病状の変化や入院、認知機能の変化などにより、これまでご本人が行っていたストーマ用装具の管理やケアを家族が引き継ぐことになると、「必要な物品や手続きがわからない」「本人に直接聞きづらい」といった悩みが生じることがあります。
この記事では、ご本人が装具の管理やケアができなくなった際に家族が直面する悩みや対処法をわかりやすく整理し、事前の準備方法や、困ったときの相談先についても具体的にご紹介します。
家族がストーマ用装具の管理を引き継ぐ際の悩み

入院、ケガ、あるいは認知機能の変化など、ストーマ用装具の管理者が交代するきっかけはさまざまです。これまでご本人が一人で管理されていた場合、家族は「何がどこにあるのかわからない」「何をどうしたらよいのかわからない」という状況に置かれがちです。
こうした状況では、主に2つの悩みに直面しやすくなります。
「何が必要で、どう手続きすればいいかわからない」という悩み
家族が直面する最も大きな悩みの一つは、必要な物品の特定と手続きの複雑さです。これまでご本人がすべて管理していた場合、次のような壁に突き当たることがあります。
- 使用している装具(面板、パウチ)の製品名や品番がわからない
- ストーマケア用品(皮膚被膜剤、剥離剤など)の種類や必要数がわからない
- 販売店・ECサイト・病院の売店など、どこから購入しているのかわからない
- 「日常生活用具給付券」などの公費助成制度の申請方法や利用手順がわからない
これらの悩みは、管理を引き継ぐ家族の多くが共通して抱えるものです。しかし、一つひとつ手順を踏めば解決できますのでご安心ください。
「本人に聞きづらい」という悩み
ストーマケアは、ご本人にとって非常にプライベートでデリケートな問題です。そのため、家族としても「将来のためにいろいろ聞いておきたいけれど、どう切り出せばよいかわからない」と、コミュニケーションの難しさを感じることがあります。
一方で、ストーマ保有者自身も、体調の変化などに伴い「いつか家族に管理を頼まなくてはならなくなるかもしれない」と将来への不安を抱えながらも、なかなか言い出せないことがあります。こうした家族間のコミュニケーションの課題は、もしもの時に迅速な対応が取れなくなる可能性があります。
ストーマ用装具の管理を突然交代!まずやるべき対処法

突然の事態に、多くの方は動揺し、何から手をつければよいかわからなくなってしまうものです。しかし、やるべきことを順番に整理し、具体的なステップに沿って一つひとつ確認すれば、抜けや漏れなく、確実に行動を進めることができます。
STEP1:キーパーソンに連絡・相談する方法
まずは、家族だけで解決しようとせず、専門知識を持つ「キーパーソン」に連絡を取るのがおすすめです。ストーマケアについて的確なアドバイスをもらえます。
主なキーパーソン
- 病院の看護師:手術を受けた病院のストーマ外来や、入院中の病棟の看護師
- 訪問看護師:在宅で療養されている場合に、定期的に訪問している看護師
- 施設の看護師:介護施設などに入所されている場合の担当看護師
- ケアマネジャー:介護サービスを受けている場合の担当ケアマネジャー
連絡する際は、「(ご本人の名前)の家族ですが、ストーマ用装具の管理を引き継ぐことになり、必要な物品や今後の手続きについて教えてほしい」と伝え、状況を説明してください。
STEP2:必要なストーマ用装具やケア用品を確認する方法
ヤガミホームヘルスセンターのような販売店では、過去の購入履歴がデータとして残っている場合があります。氏名や住所、電話番号などの顧客情報を伝えることで、これまで購入していた製品を特定してもらうことができます。
このほかにも、必要な物品を確認する方法はいくつかあります。
購入履歴から確認する方法
ご本人が利用していたECサイトの履歴を確認する
現物から確認する方法
自宅にあるストーマ用品の箱やパッケージに記載された製品名や品番を確認する
どちらも難しい場合
購入履歴が不明で手元に製品がない場合には、看護師などに協力してもらい、ご本人に合った物品や必要数、交換頻度を特定してもらう
こうした確認を重ねることで、現在使用している装具やケア用品を正確に把握できます。
以下の情報をリストにしておくと、注文や相談の際にスムーズです。
確認しておきたい項目チェックリスト
- 面板※:メーカー名、製品名、品番、サイズ(ストーマ孔の大きさ)
- パウチ※:メーカー名、製品名、品番
- その他ケア用品:皮膚被膜剤、剥離剤、用手成形皮膚保護剤、粉状皮膚保護剤、ベルトなど
- 1か月のおおよその使用量:面板やパウチの交換頻度(例:3日に1回など)
※面板とパウチが一体になっているタイプもあります。
STEP3:ストーマ用装具の注文や公費助成の手続きを進める方法
必要な物品をリストアップしたら、次は注文手続きに進みます。手続きには「通常の注文」と、費用助成が受けられる「公費制度を利用する場合」の2つのパターンがあります。
ストーマ用装具の注文方法
ストーマ用装具の注文は、家族が代理で行うことも可能です。注文方法は販売店によってさまざまですが、主に以下の方法があります。
- 電話での注文
専門のスタッフに相談しながら、必要な製品や数量を確認して注文できるため、初めての方でも安心です。 - ECサイト(オンラインショップ)での注文
パソコンやスマートフォンから24時間いつでも注文できます。過去の購入履歴を確認できるサイトも多いため、間違いが少なく購入できます。
公費助成制度(日常生活用具給付券)の利用
ご本人が身体障害者手帳をお持ちの場合、「日常生活用具給付券」を利用してストーマ用装具の購入費用の助成を受けられることがあります。お住まいの市区町村によって若干異なりますが、申請から給付券利用までの一般的な流れは次のとおりです。
※所得制限などの条件は自治体によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
1.市区町村の窓口に相談
障害福祉課などの担当窓口で「ストーマ用装具の給付申請をしたい」と伝え、申請書類を受け取ります。
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2.販売店に見積書を依頼
購入予定の物品を記載した「見積書」が必要です。販売店に見積書の作成を依頼します。
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3.必要に応じて医師の意見書を準備
自治体によっては医師の意見書など追加書類が求められる場合があります。窓口で必要な書類を確認し、揃えます。
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4.市区町村の窓口へ申請書類を提出
必要書類をすべて揃えて窓口に提出します。
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5.給付決定・給付券の受け取り
申請が認められると、後日「給付券」が自宅に郵送されます(※お住まいの市区町村によって、給付券の受け取り方法が異なる場合があります)。申請から交付までの期間は自治体によって異なり、一般的に数週間から1か月以上かかる場合があります。装具の在庫が少なくなる前に、早めに手続きを始めることが大切です。
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6.給付券を利用して製品を注文
届いた給付券を販売店に提示(郵送など)して製品を注文します。
公費助成の手続きは内容が多く、複雑に感じることがありますが、ご相談いただければヤガミホームヘルスセンターが状況に応じて必要な案内やサポートを行います。
もしもの時に備えて家族で準備しておくべきこと

突然の事態に慌てないためには、日頃からの準備と情報共有が何よりも大切です。ご本人の体調が良いときに、将来について話し合う機会を持てると理想的です。事前の準備は、もしもの時の家族の身体的・精神的な負担を大きく軽減してくれます。
ストーマケアの方法を共有しておく
可能であれば、ご本人に抵抗がない範囲で、ストーマ用装具の交換を一度一緒に行ってみるのがおすすめです。実際のケアの手順を見ておくだけで、もしもの時の安心感が違います。
もし、ご本人が見られることに抵抗を感じる場合は、無理強いは禁物です。まずはその気持ちに寄り添い、「もしもの時に困らないように、手順をメモさせてもらうだけでもいいかな?」など、ご本人が受け入れやすい方法を提案してみてください。スマートフォンで動画や写真を記録しておくのも有効な方法です。
物品の情報を共有しておく
「どこに」「何が」「どれくらい」あるのかを家族全員が把握しておくことは、適切なケアを行うために必要です。
まず、ストーマ用装具やケア用品を保管している場所を、家族全員がわかるようにしておくことが重要です。さらに、使用している製品のメーカー名・製品名・品番を一覧にまとめ、見やすい場所に掲示したりスマートフォンで共有したりするのも有効な方法です。
あわせて、いつも注文している販売店の連絡先(電話番号やECサイトのURL、担当者名など)も整理しておくと、もしもの時にスムーズに対応できます。
相談できる場所を共有しておく
「困った時に頼れる場所」を複数知っておくことは、家族の精神的な支えになります。頼れる場所があることで、突然のトラブルや疑問が生じたときにも安心して相談できます。
たとえば、ヤガミホームヘルスセンターのような専門販売店は、製品の注文だけでなく、公費助成の手続きや製品選びの相談にも対応してくれる心強い存在です。さらに、地域の「オストミー協会(ストーマ保有者や家族を支援する患者会)」など、同じ状況にある当事者や家族とつながれる患者会やコミュニティもあり、体験談の共有や情報交換を通じて悩みを軽くできることがあります。
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よくある質問
ストーマ用装具の管理を引き継ぐ際に、多くの家族から寄せられる代表的な質問をまとめました。同じような状況でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
本人が入院中で、使っている製品が確認できません。どうすればいいですか?
まずは入院先の病院の看護師に相談してください。ご本人が使用している装具やケア用品の種類を把握している場合が多いです。また、ヤガミホームヘルスセンターを利用している場合には、過去の購入履歴から製品を調べることも可能です。
緊急で装具が必要になりました。どうすればよいですか?
いつも利用しているストーマ用装具の販売店へ電話で相談してみてください。状況を伝え、どのような対応が可能か確認することをおすすめします。
日常生活用具給付券の申請について、何から始めればいいかわかりません。
日常生活用具給付券の申請は、お住まいの市区町村の窓口で行います。
申請には、多くの場合、販売店が発行する「見積書」の提出が必要です。まずは、いつも利用している販売店に給付券を利用したい旨を伝え、見積書の発行や手続きの全体の流れについて相談してみることをおすすめします。必要な書類や手順は自治体によって異なりますので、販売店や市区町村の窓口でよく確認することが大切です。
ストーマに関するご相談はヤガミホームヘルスセンターへ
家族のストーマ用装具の管理を引き継ぐことは、多くの不安や戸惑いを伴います。しかし、一つひとつの課題を整理し、頼れる相談先を見つけることで、その負担は軽くなります。
ヤガミホームヘルスセンターは、長年にわたりストーマ保有者とその家族をサポートしてきました。製品のご注文はもちろん、「何から手をつけていいかわからない」といった漠然としたお悩みや、公費助成制度の具体的な手続きに関するご相談まで、専門のスタッフが丁寧に対応いたします。
電話でのご相談に加えて、オンライン相談もご利用いただけます。「口頭だけでは説明しづらい」「言葉で聞いてもよくわからない」といった場合でも、画面を通じて実際のお顔を見ながら、手元にある製品を互いに確認しながらご相談いただけるため、より安心してご利用いただけます。
家族だけで抱え込まず、私たちにお気軽にご相談ください。
【ご相談窓口】
ストーマ用品オンラインショップ ヤガミホームヘルスセンター「e.よりそうだん」
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