「ストーマ保有者が災害に備えるには、何を準備すればよいのか?」
「ストーマ保有者にとって、災害時に役立つ情報が知りたい」
地震や台風、洪水などの災害は、いつ起こるかわかりません。
災害時は普段使っているストーマ用装具などの物品が、手元にすぐ届かないことが予想されます。ストーマ保有者は、万が一の災害に備えて、普段から準備を意識しておくことが大切です。
本記事では、ストーマ保有者が災害に備えて準備しておきたい「オストメイト用災害セット」と、災害時に役に立つ情報をまとめて解説します。
ストーマ保有者が準備したいオストメイト用災害セット

ストーマ保有者は災害への備えとして通常の避難用災害セットに加え、ストーマに関する災害セットの準備が欠かせません。いざという時にオストメイト用災害セットが問題なく使えるよう、定期的な点検も必要です。
ご自身用のオストメイト用災害セットの準備とともに、必要な物品が1つにまとまった市販のオストメイト用災害セットを購入しておくと備えをより手厚くできます。
必要な物品を揃えてオストメイト用災害セットを作る
大きな災害が発生するとライフラインが寸断され、ストーマ用品が手に入りにくくなる状況が予想されます。ストーマ用品の供給が始まるまでの期間を1か月程度と考え、オストメイト用災害セットの準備をします。
1か月分のオストメイト用災害セットに必要な基本的な物品は以下の通りです。
- 装具1か月分(面板はすぐ使えるように自分のサイズに孔を開けておくと安心です)
- ウェットティッシュ
- 拭き取りに必要なガーゼ等
- 不透明なビニール袋(数枚)
- チャック付きビニール袋(数枚)
避難所では水が十分に使えない可能性もあります。交換時にストーマや皮膚を洗う代わりに、ノンアルコールのウェットシートなど、水なしでケアできるグッズがあると心強いです。
シルティ 水のいらないもち泡洗浄
天然保湿成分(ピュアセリシン)配合の泡で、肌にやさしく保湿洗浄・保湿清拭できる洗い流し不要の洗浄料です。

リモイスクレンズ
天然オイルで汚れを浮き上がらせ、拭き取るだけで皮膚をすばやく清潔にします。

デイリーデオワイプ
ウェットタイプで素早くきれいに拭き取りらくらく!拭き取り後はそのままトイレに流せます。

避難所では多くの人が集まって生活するため、装具交換の際に、においが気になることもあります。
においが気になるときは、使用済みのストーマ用装具を防臭タイプのビニール袋に入れて処分することで、周囲への配慮につながります。
オストメイト用災害セットを複数作っておく
災害はいつどこで起きるか予測できません。予測できない事態に備えて、オストメイト用災害セットは複数作成し、分散して保管しておくのがおすすめです。
- 自宅では1Fと2F、玄関とリビングなど分けて置く。
- 親戚の家にも預けておく。
- 職場にも1セット置いておく
オストメイト用災害セットが確実に使えるよう備える
せっかくオストメイト用災害セットを準備しても、いざ使う時に「置いた場所を忘れてしまった」「セットの中身が劣化していた」という可能性も考えられます。
普段からオストメイト用災害セットをローリングストック※として活用し、日々使い足していくと、置き場所を忘れにくく、中身の劣化も防ぐことができます。
加えて9月1日「防災の日」には、ストーマ用品だけではなく避難グッズや備蓄食料なども点検することがおすすめです。「防災の日」は、メディアや自治体から防災への備えが頻繁に呼びかけられるので、防災意識が高まります。
※少し多めに買い置きをしておき、「蓄える→使用期限の早いものから使用する→使用した分を補充する」を繰り返しながら、常に一定の量の必要物品を備蓄する方法のこと。
市販のオストメイト用災害セットの購入も検討を
ヤガミホームヘルスセンターでは、災害時にストーマ保有者が必要なアイテムを1つにまとめた「非常用持ち出し袋」「オストメイト用災害安心セット」を取り扱っています。ストーマ保有者ご自身で準備したオストメイト用災害セットとあわせて持っておくと、災害への準備をより手厚くできます。
非常用持出し袋
緊急時にすぐ持ち出せるよう、必要な11品をセットにしたリュック付の緊急持出し袋です。旅行などでもご使用になれます。

オストメイト用災害安心セット
災害時、ストーマケアに必要なアイテム12点が1つにまとめられています。
ワンショルダーストラップの長さを調整すれば、肩掛けにも斜め掛けにもなる3WAY仕様です。

ストーマ保有者が災害時必要となる情報の整理

災害が発生すると、ストーマ保有者はストーマ用品の支給を受けられる場合があります。スムーズに支援を受けられるように、ストーマの種類や装具の情報を事前に書き出してみてください。避難所で安心してストーマケアができるように、自宅付近にある避難所の環境も調べておきます。
ストーマの種類や装具の情報を書き出しておく
災害でストーマ用品や装具が入手しづらい状況になると、ストーマ保有者へ以下の支援が行われます。
- ストーマ用品セーフティーネット連絡会(OAS)によるストーマ用品の無料提供
ストーマ用品セーフティーネット連絡会(OAS)は、日本国内のストーマ用品メーカーによって結成された団体です。
災害発生時等の緊急時にストーマ用品が入手できないストーマ保有者へ、ストーマ用品を確保し無料提供しています。受け取り方法などの詳細は、ストーマ用品セーフティーネット連絡会の災害時対応の手引きを確認してみてください。 - 自治体によるストーマ用装具等の備蓄
自治体(区市町村)が標準的なストーマ用品を備蓄し、災害などの緊急時にストーマ用品を提供している場合があります。緊急時に備えて、お住まいの地域でストーマ用品が備蓄されているかどうか、事前に自治体へ確認しておくと安心です。
災害時にストーマ用品をスムーズに受け取れるように、ストーマの種類や普段使用している装具情報を紙に書き出して整理しておきます。
ストーマ用装具の箱の製品名が書いてある部分を切り取り、オストメイトカードと一緒に持っておくことも有効です。
自宅付近にある避難所の環境を調べておく

日本全国の自治体では、災害時の避難所を地域ごとに指定しています。しかしながら、避難所のトイレがストーマ保有者に対応しているとは限りません。
事前に自宅付近の避難所を調べ、ストーマ保有者に対応したトイレや環境が整っているかどうか、確認することをおすすめします。避難所に指定されている建物の中へ事前に入れるのであれば、実際に行って確認しておくと安心です。
避難所の場所や設備について詳しくは、お住まいの自治体ホームページや窓口までお問い合わせください。
ヤガミホームヘルスセンターは皆様の安全・安心を支えます

ヤガミホームヘルスセンターでは、耐震構造や安全対策が施された物流センター内に、約1,500品目のストーマ用品と介護用品を管理する配送センターがあります。
日々商品を大切に梱包し発送するために、ヤガミホームヘルスセンターと配送センターでシステムを連携しています。
ストーマ用品や装具について疑問や不安がある方は、ヤガミホームヘルスセンターへお気軽にご相談ください。
【ご相談窓口】
ストーマ用品オンラインショップ ヤガミホームヘルスセンター「e.よりそうだん」
詳しくはこちら
ご連絡先電話番号 (通話料無料) | 0800-200-7772 |
受付時間 | 月〜金曜 9:00~17:00 |
休業日 | 土曜・日曜・祝日・年末年始 |
オンラインショップメール | shop@yagami-e-yorisoudan-stoma.com |
【参照】
・日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会>災害対策>ストーマ用品セーフティーネット連絡会災害時対応の手引き
・公益社団法人日本オストミー協会>ストーマとの生活>オスメイトの災害対策
【参考文献】
・松浦信子・山田陽子、快適!ストーマ生活―日常のお手入れから旅行まで 第2版、医学書院、2019年、134p、p.89-91