ウロストミー(尿路系ストーマ)は、膀胱がんの治療や先天性疾患、外傷などによって膀胱や尿道の機能に問題が生じた場合に、腹壁にストーマを造設して尿を排出できるようにする外科的処置です。消化器系ストーマとはケア方法や注意すべき点が異なるため、その違いや特徴を理解することが大切です。
手術後の生活に不安を感じる方やご家族も多くいらっしゃいます。この記事では、そうした不安を少しでも軽減できるよう、装具交換時の観察ポイントや、漏れ・におい・皮膚トラブルへの対策、日常生活で気をつけたいことまで、実践的な情報をわかりやすく解説します。
ウロストミー(尿路系ストーマ)と生活するための基礎知識

ウロストミーは膀胱がんやその他の疾患・外傷などによって、膀胱摘出または機能障害が生じた際に造設される人工の尿排出口です。コロストミー(結腸ストーマ)やイレオストミー(回腸ストーマ)とは、排泄物や管理・ケアの方法が大きく異なります。
ウロストミーの特徴を理解することで、日常生活がより過ごしやすくなります。
ウロストミーとは何か:造設される主な原因
ウロストミーとは、膀胱や尿道の働きに問題が生じたときに、おなかに新しく尿の出口をつくることです。膀胱がんで膀胱を摘出した場合をはじめ、神経因性膀胱、先天性の疾患、外傷などによって、これまでのように尿をためたり排泄したりすることが難しくなったときに行われます。なかでも、膀胱がんの治療で膀胱を摘出したあとにウロストミーを造設するケースは多くみられます。
膀胱とウロストミーの大きな違いは、尿をためて自分のタイミングで出せるかどうかです。膀胱がある場合は、尿が溜まると尿意を感じ、ある程度は排尿のタイミングを調整できます。一方、ウロストミーには膀胱のように尿を溜める働きがないため、尿意を感じることはなく、尿は少しずつ自然に排出されます。そのため、ウロストミーでは装具を使って日常的に管理していくことが大切です。
ウロストミーの種類:回腸導管・尿管皮膚瘻・腎瘻の違い
ウロストミーにはいくつかの種類がありますが、代表的なのは回腸導管(かいちょうどうかん)と尿管皮膚瘻(にょうかんひふろう)です。
回腸導管は、小腸の一部を使って尿の通り道をつくり、その先をおなかにストーマとして出す方法です。膀胱がんで膀胱を摘出したあとなどに選ばれることが多くなっています。
尿管皮膚瘻は、尿管をそのまま皮膚につないで尿の出口をつくる方法で、比較的シンプルな術式です。時間がたつと出口が狭くなり、場合によってはカテーテルを入れて管理することがあります。
一方で、尿の通り道を変える方法には、ウロストミーとは少し異なるものもあります。たとえば腎瘻(じんろう)や膀胱瘻(ぼうこうろう)は、おなかにストーマを造設して装具で管理する方法とは異なり、カテーテルを留置して尿をバッグに溜める方法です。同じ尿路変向でも、回腸導管や尿管皮膚瘻とは管理の方法が異なります。
ウロストミー用装具の構造と逆流防止の仕組み
ウロストミー用装具には、逆流防止弁が備わっています。この逆流防止弁は、一度排出された尿が再びストーマに触れることを防ぐ仕組みです。
尿は生成された時点では無菌ですが、パウチ内で時間が経つと菌が繁殖する可能性があるため、この仕組みが逆行性尿路感染症のリスク低減に役立ちます。
パウチから尿を排出する方法とタイミング
パウチから尿を排出するタイミングは、パウチの3分の1程度まで尿が溜まったころが一般的です。目安としては、2~3時間ごとになることが多いです。尿を溜めすぎると面板に負担がかかり、剥がれや漏れの原因となる可能性があります。
排出後は排出口を確実に閉じることで、衣服や寝具への尿漏れやにおいの漏れを防ぐことができます。
【悩み別】ウロストミーの日常的なケアと生活のポイント

ウロストミーを造設した方が直面しやすい主な悩みは、装具からの漏れ、におい、皮膚トラブルの3つです。
これらの問題は適切なケア方法を実践することで改善が期待できます。
まずは装具交換の基本手順と観察ポイントを確認し、その後、漏れ・におい・皮膚トラブルそれぞれの具体的な対策を解説していきます。
装具交換の基本的な手順
装具交換は「準備」「剥がす」「清拭・観察」「装着」の4つのステップで行います。準備段階では室温を体が冷えず快適に作業できる温度に設定し、新しいストーマ用装具(面板・パウチ)、剥離剤、石鹸や洗浄剤、拭き取り用のガーゼ、ビニール袋などの必要な物品を揃えます。
剥がす際は皮膚を押さえながらゆっくり丁寧に行い、清拭時は石鹸を泡立ててストーマ周囲を優しく洗浄します。ウロストミー特有の注意点として、常に尿が出続けるため、ロール状にしたガーゼをストーマに当てて尿汚染を防ぎながら作業を進めることが大切です。
交換時に自分で確認できる観察ポイント
装具を交換するときは、新しい装具を貼る前に、ストーマや皮膚の状態を毎回確認することが大切です。面板の裏側や尿の様子まで見ておくと、漏れや皮膚トラブル、感染のサインに早めに気づきやすくなります。
- ウロストミーの色
いつもと比べて、色が急に悪くなっていないかを確認します。黒っぽい、茶色っぽいなど明らかな変化があるときは、早めに医療機関へ相談することが大切です。 - 大きさ・形状
ストーマがいつもより腫れて見える、形が変わった、出方や引っ込み方が大きく変わったなどの変化がないかを見ます。サイズや色の異常な変化は、医療機関を受診する目安の一つです。 - 周囲の皮膚の状態(発赤・びらん・浸軟)
赤み、ただれ、じくじくした感じ、ひりつき、かゆみがないかを確認します。こうした変化は、尿が皮膚についているサインや皮膚障害の始まりであることがあります。重い皮膚障害や、数日たってもよくならない症状があるときは、ストーマ外来などへの相談を検討してください。 - 尿の性状(色・混濁・浮遊物・血尿・におい)
尿の色やにごり、浮遊物、においの変化も確認したいポイントです。回腸導管では粘液が混じって白っぽくにごることがありますが、にごりが強い、においが強くなった、血が混じるように見えるなど、いつもと違う変化があるときは注意が必要です。 - 面板の溶け具合・ふやけ具合 など
剥がした面板の裏側も見て、尿がもぐり込んだ跡がないか、皮膚保護剤がふやけすぎていないかを確認します。ウロストミーでは、面板の孔のまわりが5〜10mmほど溶けたりふくらんだりしている状態が、交換時期の目安の一つとされています。面板の外に漏れていなくても、裏側にもぐり込みがあれば漏れと考えます。
カテーテルが入っている場合は、位置のずれや抜けかけ、折れ曲がりがないかもあわせて確認しましょう。尿が出にくい、急に尿量が減る、発熱や腰背部痛があるときは、閉塞や感染などの可能性もあるため、早めに医療機関へご相談ください。
「漏れ」を防ぐための工夫
漏れ防止には面板の適切なカットが重要です。面板の孔のサイズはストーマより2mm程度大きめを目安とします。さらに、皮膚保護剤をストーマ周囲にフィットさせることで密着性が高まり、漏れリスクの軽減につながります。
外出時や夜間など、長時間尿の排出ができないときは、レッグバッグや採尿バッグを使用するとより安心して過ごすことができます。採尿バッグはメーカーによって1~2週間程度繰り返し使用でき、経済的な面でもメリットがあります。
※採尿バッグの交換目安や使用可能期間はメーカー・製品によって異なります。ご使用前に、各製品の説明書や注意事項をご確認ください。
気になる「におい」を抑えるための対策
ウロストミーのにおいの主な原因は尿路感染やパウチ内の細菌繁殖です。対策として十分な水分摂取により尿を薄めることが基本となります。さらに、専用消臭スプレーの活用も一つの方法です。
ダンサック ノドールS 50ml
ストーマ袋の交換時・排泄時の気になるにおいを中和する専用消臭液です。無香料・無色で自然な使い心地。ストーマ袋の交換時に利用することで消臭フィルターを長持ちさせます。
50mLサイズの他に250mLサイズがあります。

m9クリーナー
レッグバッグや蓄尿容器の汚れ・においを除去する濃縮液体クリーナーです。
弱アルカリ性で刺激が少なく安心してご使用いただけます。付属の洗浄ボトルを使用し、温湯(ぬるめのお湯)で希釈して使用するタイプで、約60回分使用可能です。

「皮膚トラブル」の予防法
皮膚トラブルの主な原因は尿の付着、剥がす際の物理的刺激、汗の3つです。尿が付着したままの状態を放置すると皮膚トラブルの原因となるため、装具交換時に皮膚を石鹸で洗浄し、しっかり乾かすことが基本となります。面板を剥がす際には剥離剤を使用し、皮膚を押さえながらゆっくりと剥がすと物理的刺激を軽減できます。
特に夏場など面板を貼った部分の発汗が多くなると、皮膚トラブルの原因となります。面板が汗を大量に吸うと、皮膚保護剤が溶解したり膨潤(白く膨らむ)したりする状態になります。皮膚保護剤が水分を吸収しきれない状態のまま装具をつけ続けることが、皮膚トラブルの原因となります。
装具を貼り付ける前に皮膚をよく乾かし、必要に応じて皮膚被膜剤を用いて保護膜を作ることが、汗や尿から皮膚を守る予防方法の一つです。
皮膚被膜剤についてはこちらからご覧いただけます。
ウロストミーの社会保障制度:身体障害者手帳の申請方法

永久的なウロストミーを造設された方は、「ぼうこう又は直腸機能障害」として身体障害者手帳の交付対象となります。尿路ストーマが1つの場合は、主に4級が目安です。ただし、ほかの障害の有無や状態によっては、3級や1級に認定されることもあります。
申請先は、住民票のある市区町村の福祉担当窓口が一般的です。窓口で申請書や診断書・意見書に関する案内を受け、指定医に必要書類を作成してもらったうえで提出します。
身体障害者手帳を取得すると、ストーマ用装具などの日常生活用具の給付を受けられる可能性があります。こうした支援は、装具にかかる費用負担を軽減する助けになります。
ただし、給付対象となる用品の範囲や月額の基準額、自己負担の割合、申請に必要な書類は、市区町村によって異なります。詳細は、お住まいの市区町村窓口にご確認ください。
申請の具体的な流れや必要書類については、以下のページもあわせてご覧ください。
ウロストミーに関するよくある質問

ウロストミーを造設した方から寄せられるご質問の中でも、特に多いのが日常生活に関する疑問です。
食事や水分摂取、外出時の工夫、入浴や温泉の楽しみ方、紫色採尿バッグ症候群について、具体的な対処法とポイントを解説していきます。
食事や水分摂取で気をつけることは?
基本的に食事制限はありません。バランスの良い食事を1日3回きちんと摂ることが大切です。
ただし、1日に1,000~1,500mLの尿が排出されるため、尿路感染予防、においの軽減、尿結晶の予防のために十分な水分摂取を意識することが望ましいです。ビタミンCを含んだ食品は尿の酸性度を保つ働きがあるとされています。
食事については、以下の記事でも詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

長時間の外出を支える「レッグバッグ」とは?
レッグバッグは脚に装着して尿を貯められる袋で、蓄尿量を増やすことで外出時や移動時の不安を軽減するストーマケア用品です。容量は350~900mLと幅があり、小柄な方やスポーツ時にはコンパクトなもの、長時間の外出や旅行時には、大容量のものを選べます。
長時間トイレに行けない状況にも対応できるため、日常生活を支援するアイテムの一つです。
旅行・外出時に準備する持ち物は?
急な漏れや装具交換に備えて、普段使っているストーマ用装具の予備、剥離剤、ガーゼ、ビニール袋、替えの下着などはひとまとめにして持ち歩きます。外出先ではすぐに補充できないため、旅行時は予定日数分に加えて予備も用意しておくと安心です。
飛行機を利用する場合は、気圧の変化でパウチがふくらむことがあるため、搭乗前後に尿を排出しておくことが大切です。また、ストーマ用品はスーツケースだけでなく、機内持ち込み手荷物にも分けて入れておくと、万が一の荷物トラブルにも対応しやすくなります。
外出や旅行に不安を感じる方も少なくありませんが、準備を整えておけば行動の幅を少しずつ広げていけます。まずは短時間の外出から慣れていくことで、旅行もより楽しめるようになります。
装具をつけたままの入浴や温泉は可能?
装具を外して入浴することもできますが、ウロストミーの方は常に尿が排出される状態のため、装具をつけたまま入浴することが一般的に推奨されています。装具をつけたまま入浴する場合は、事前にパウチ内の尿を排出しておくことが大切です。公衆浴場や温泉を利用する際も同様の準備を行い、必要に応じて面板の外周に防水テープを貼って補強することで、安心して入浴を楽しめます。
入浴については、以下の記事でも詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

紫色採尿バッグ症候群(PUBS)とは?
紫色採尿バッグ症候群(PUBS)とは、採尿バッグやカテーテルが紫色に見える現象のことです。主に、尿道カテーテルを長期間使用している方にみられ、便秘や尿路感染などが関係するとされています。PUBSそのものを治療するというより、背景にある尿路感染や便秘などに適切に対応することが大切です。
ストーマ用品に関するご相談はヤガミホームヘルスセンターへ
ウロストミーを造設された方にとって、適切なケア方法を身につけることは日常生活を送る上で大切です。装具からの漏れやにおい、皮膚トラブルなど、一人で抱え込みがちな悩みも、正しい知識と適切な対処法を知ることで対応しやすくなります。
ヤガミホームヘルスセンターでは、本記事で紹介した商品の他にも、ストーマに関する用品を豊富に取り扱っております。
ストーマに関することで不安や疑問がある方は、ヤガミホームヘルスセンターへお気軽にご相談ください。
※本記事は情報提供を目的としており、医療相談に代わるものではありません。個別の症状については医療従事者にご相談ください。
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