手術でイレオストミーを造設した後、水様便の処理や脱水症への不安を感じていませんか。
しかし、イレオストミーの特徴を正しく理解して日々のケアや準備を工夫することで、以前と変わらない生活を目指すことができます。
この記事では、パウチの種類や皮膚トラブル対策、水分補給のポイントを解説します。不安を解消し、安心して自分らしい毎日を送るためにお役立てください。
イレオストミーの特徴と排泄の仕組み

イレオストミーとは、小腸の末端部分である「回腸」を使って造設されるストーマ(人工肛門)のことです。
大腸のストーマ(コロストミー)と比較すると、以下のような違いがあります。
- 大腸を通らず、水やミネラルが十分に吸収されないまま排泄されるため、水様便になりやすい
- 消化酵素を多く含むため、排泄物が皮膚に付くとヒリヒリとした炎症(ただれ)を起こしやすい
- 消化から排泄までの時間が短く、排泄の回数が多くなりやすい
家族がケアをする際、水様便の処理に手間取ることがあるかもしれません。そのような場合は、パウチ内で排泄物をゼリー状に固める「凝固剤」を使用すると、捨てる際にこぼれにくく、処理の負担を減らすことができます。
イレオストミーの装具交換のポイント
イレオストミーは排泄物の量が1日800〜1,000mLと多く(※個人差があります)、排泄も頻回なため、装具交換時には注意が必要です。
食後3〜4時間は腸の動きが活発になるため、この時間帯を避けることで排泄物による汚れを防ぎやすくなります。また、交換中にストーマの下に不織布やビニール袋を置くと安心です。
使用する製品のメーカーが設定する貼付期間の目安を参考にしながら、皮膚の状態に合わせて調整することが大切です。剥がした面板の皮膚保護剤の溶けやふやけが1cm程度になったころが交換の目安とされています。実際の交換時期は、医療従事者の指導に従ってください。
イレオストミーで使われるパウチの種類

イレオストミーは排泄の回数が多く、1日に何度も排出が必要になるため、パウチを外さずに中身を処理できる「下部開放型」や、水様便の排出に適した「キャップ式」が多く用いられます。
下部開放型は排出口が広く一度に処理しやすいのが特徴で、キャップ式は排出量をコントロールしやすい点が特徴です。
イレオストミーの生活で注意したい脱水症と食事

私たちの体は小腸で栄養を、大腸で水分を吸収しますが、イレオストミーでは大腸を通らないため、水分が十分に吸収されず、排泄物とともに多くの水分が失われやすくなります。そのため、脱水症を起こしやすいことを理解しておく必要があります。
脱水予防には、こまめな水分補給が重要です。食事中の水分とは別に、1日あたり1,000〜1,500mL(コップ約8〜10杯)を目安に摂取し、気温が高い日や下痢がある場合は、さらに意識して補給することが大切です。
脱水症の予防と水分補給のポイント
脱水症を防ぐには、喉が渇く前からこまめに水分を摂ることが大切です。尿の色が濃くなったり、回数が減ったりする場合は、水分が不足しているサインです。
水分補給の際は、水やお茶だけでなく、塩分や糖分が含まれたスポーツドリンクや、水分と電解質を同時に補給できる飲料を取り入れると、体に吸収されやすく、脱水予防に役立ちます。
消化の良い食事と食べ方の工夫
小腸は管が細いため、消化されにくい食品が詰まると、コロストミーの方と比べて腸閉塞(イレウス)を起こしやすい傾向があります。特に、きのこ類や海藻類、こんにゃく、ごぼうなど、不溶性食物繊維を多く含む食品には注意が必要です。
これらを食べる場合は、一度に大量に摂らず、食材を細かく刻む、よく噛んで食べるといった工夫を心がけることで、詰まりの予防につながります。
イレオストミー特有の皮膚トラブルを防ぐスキンケア

イレオストミーの排泄物には、食べたものを分解するための「消化酵素」が含まれており、コロストミーの排泄物に比べて皮膚への刺激が強いのが特徴です。わずかな漏れでも、短時間で赤くただれたり、痛みを伴う皮膚トラブルにつながったりすることがあります。
そのため、排泄物が皮膚に触れないよう注意することと、装具交換時に丁寧なスキンケアを行うことが重要です。
排泄物の漏れを防ぐストーマ孔の合わせ方
イレオストミーの排泄物は消化酵素を多く含み、皮膚への刺激が強いため、ストーマ孔(面板の開口部)はストーマのサイズに正確に合わせることが大切です。穴が大きいと皮膚が露出し、排泄物が触れて炎症を起こしやすくなります。
ストーマの根元に沿うように穴をカットし、皮膚の露出を最小限に抑えて装着することが望ましいです。微調整には専用のハサミを使うと便利です。
ハサミSS
ストーマ孔のカットに適した専用ハサミです。刃がカーブしており、曲線が切りやすい設計になっています。上刃がギザギザ加工になっているため、粘着剤が滑りにくいのが特徴です。

皮膚を保護する剥がし方と洗浄のコツ
装具交換時に無理に剥がすと、皮膚表面まで傷つき、かぶれの原因になります。
剥離剤を使用し、皮膚を押さえながらやさしく剥がすと、皮膚への負担を減らすことができます。
洗浄は石鹸や洗浄剤をよく泡立て、泡の力で汚れを浮かすように行います。強くこすらず、ぬるま湯で十分にすすぎ、水分をしっかり拭き取ってから新しい装具を装着してください。
イレオストミー保有者の入浴と外出のポイント

イレオストミーは排泄の回数が多く、排泄物が水様になりやすいため、入浴や外出には事前の準備が大切です。準備を整えておけば、安心して楽しむことができます。
入浴時の工夫と注意点
食事のあとには腸の動きが促され、排泄が起こりやすくなります。
そのため、入浴は食前、もしくは食後2時間ほど経ってからが一つの目安です。
イレオストミーの場合、排泄のタイミングが予測しにくいため、装具をつけたままの入浴が推奨されています。面板の周囲を防水テープで補強すると剥がれにくくなります。
外出や旅行時の準備と心構え
外出時の不安を軽減するため、あらかじめ「オストメイト対応トイレ」の場所を確認しておくと安心です。スマートフォンのアプリやインターネットで簡単に検索できます。
オストメイトJP
https://www.ostomate.jp

また、イレオストミーの排泄物は水分が多く、漏れた場合に衣服へ広がりやすい特徴があります。
外出の際は、予備の装具一式に加え、交換用の下着やズボン、使用済み装具や汚れた衣類を入れるためのビニール袋などを準備しておくと、万が一の際にも落ち着いて対応することができます。
ストーマに関するご相談はヤガミホームヘルスセンターへ
イレオストミーは排泄物の性状や量において、他のストーマよりも細やかなケアが必要になる場面があります。
しかし、水分補給の管理や食事の工夫、適切なスキンケアを行うことで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。ご本人やご家族だけで抱え込まず、便利なストーマケア用品や専門家のサポートを活用しながら、焦らずケアに取り組むことが大切です。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個人によって適切なケア方法は異なります。ご不明な点や症状がある場合は、医療従事者にご相談ください。
※本記事内で紹介している水分摂取量や食事内容、ケア方法はあくまで目安であり、治療方針や指示がある場合は、そちらを優先してください。
※掲載している製品情報やケア用品の使用については、各製品の取扱説明書および医療従事者の指導に従ってください。
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