「外出先で排泄物が漏れたらどうしよう」
「なぜかいつも同じ場所が剥がれてしまう」
ストーマ保有者にとって、装具の剥がれは、日々の生活の中で大きな心配事の一つではないでしょうか。
夏場の汗をかく季節や、仕事中のふとした動きなど、思わぬ瞬間に装具が剥がれてしまうことがあります。
本記事では、ストーマ用装具が剥がれる主な要因や予防策についてご紹介します。
ストーマ用装具の「剥がれ」に要注意

ストーマ保有者から多く寄せられるお悩みの一つが「装具が剥がれてしまう」という問題です。装具の剥がれは排泄物の漏れや皮膚トラブルに直結するため、予防したい事態といえます。剥がれが発生する背景には、皮膚の状態や装具の選択ミス、日常動作による影響など、さまざまな要因が関わっています。また、パウチと面板の接続部分がうまく装着できていない場合も、漏れの一因となり得ます。
しかし、適切なケアを行い正しく装具を装着することで、これらのトラブルを未然に防ぐことが可能です。
ストーマ用装具が剥がれる主な要因

ストーマ用装具の剥がれの主な要因として、皮膚の状態変化、装具の選択ミス、日常動作による物理的影響があります。
これらの要因は単独で発生することもあれば、複数が組み合わさって剥がれを引き起こすケースもあるため、総合的な視点での対策が重要となります。
皮膚の状態の変化
皮膚に残った水分や汗は、装具の粘着力を著しく低下させる要因となります。入浴後や洗浄後に水分の拭き残しがある状態で装具を装着しても、十分な密着が得られません。
また、ストーマ周囲の皮膚が荒れて滲出液が出ている場合も、その水分によって装具が剥がれやすくなります。
夏場は特に発汗量が増えるため、汗で皮膚が湿った状態になると装具の粘着性に悪影響を及ぼしやすくなります。一方で、皮膚が乾燥しすぎている場合も面板が剥がれやすくなるため、適度な皮膚状態の維持が必要となります。
装具の選択ミス(サイズや形状の不一致)
ストーマの形状やサイズに合っていない装具を使用することは、剥がれの大きな要因となります。面板のストーマ孔が大きすぎると排泄物が皮膚に付着して皮膚トラブルを招き、結果的に装具の密着性が低下します。
ストーマに高さがなかったり、腹部にしわやくぼみがあったりする場合は、平面型の面板では十分に密着しないことがあるため、凸面型の面板を使用することもあります。
また、個人の活動量や体型に適さない装具を選択すると、日常動作中に装具がずれたり剥がれたりするリスクが高まります。このような装具選択に関する問題については、医療機関にご相談いただくことをおすすめします。
日常動作による物理的影響
日常生活における動作は、装具に継続的な物理的負荷を与えています。前かがみの姿勢や体をひねる動作は、装具と皮膚の接着面に力(応力)を生じさせ、剥がれの要因となり得ます。
特に営業職などで長時間の運転を行う場合や、重い荷物を頻繁に持ち運ぶ仕事では、装具への負荷が大きくなりがちです。衣服との摩擦も見逃せない要因で、きつい下着やベルトが装具の端部分を押し上げることで、徐々に剥がれが進むことがあります。
これらの物理的影響を最小限に抑えるためには、動作時の注意と適切な衣服の選択が大切です。
ストーマ用装具の剥がれを防ぐ予防策

装具の剥がれを未然に防ぐためには、適切な予防策を日常的に実践することが重要です。装具装着前のスキンケア、定期的なサイズ確認、日常生活での注意点という3つの観点から、総合的なアプローチを行うことで剥がれのリスクを大幅に軽減できます。
これらの予防策は、どれも自宅で実践可能な方法であり、継続的に取り組むことで装具の剥がれの予防となります。
皮膚状態を整える装着前のケア方法
装具の装着前には、皮膚のスキンケアが重要な予防策となります。ストーマ周囲を洗浄したときは、水分をしっかりと拭き取り、皮膚が完全に乾いた状態で新しい装具を装着するようにしましょう。
皮膚が荒れて滲出液が出ている(皮膚がジュクジュクしている状態の)場合は、パウダー状の皮膚保護剤を皮膚がうっすら白くなる程度に振りかけることで水分を吸収し、装具の粘着を補助できます。ただし、パウダーのかけすぎは逆効果となるため注意が必要です。
また、皮膚の乾燥が強い場合は保湿剤の使用も効果的ですが、使用後は、よく乾かしてから装具を貼付することが大切です。面板は人肌程度に温めてから装着し、貼付後は数分間手で押さえて密着させましょう。
定期的なサイズ確認
ストーマのサイズは時間とともに変化することがあるため、定期的な測定と確認が欠かせません。特に術後2~3か月間は浮腫の変化により、ストーマサイズが大きく変動することがあります。縦・横・高さを正確に測定し、面板のストーマ孔は測定したサイズより1~2mm程度大きくカットするのが適切です。
サイズが合わない装具を使用し続けると、排泄物の付着による皮膚トラブルや装具の剥がれにつながる可能性があります。装具交換の際にサイズを確認し、変化があった場合は使用する装具を見直すことが重要です。サイズの変更が必要なときは、医療機関でのアドバイスを受けることをおすすめします。
日常生活での注意点
日常生活においては、装具への負荷を最小限に抑える工夫が必要です。パウチが満杯になったり、重くなったりすると面板が引っ張られて剥がれが生じることがあるため、定期的な排泄物の処理が大切です。
運動や仕事中に前かがみや体をひねる動作を行う際は装具への負荷を意識し、きつめの衣服やベルトの着用を避けることが重要です。特に長時間の座位作業や運転を行う際には、定期的に装具の状態をチェックし、剥がれの兆候がないか確認しましょう。
就寝時は寝返りによる摩擦を考慮し、必要に応じて腹部を保護する工夫を行うことも効果的です。
ストーマに関するご相談はヤガミホームヘルスセンターへ
ストーマ用装具の剥がれには皮膚の水分状態、装具の選択、日常動作による影響など複数の要因が関係しています。適切な皮膚ケアと装具の定期的なサイズ確認、日常生活での注意点を実践することで、多くの剥がれトラブルは予防可能です。しかし症状が続く場合は、医療機関での専門的な診断が必要となります。
ストーマ用品に関するお悩みや疑問がございましたら、ヤガミホームヘルスセンターまでお気軽にご相談ください。
【ご相談窓口】
ストーマ用品オンラインショップ ヤガミホームヘルスセンター「e.よりそうだん」
詳しくはこちら
ご連絡先電話番号 (通話料無料) | 0800-200-7772 |
受付時間 | 月〜金曜 9:00~17:00 |
休業日 | 土曜・日曜・祝日・年末年始 |
オンラインショップメール | shop@yagami-e-yorisoudan-stoma.com |